3-4.博士課程大学院生・ポスドクさんへ

(1) 背景


1) 大変だから なかなか助教講師にはなれないので。
 【参考図書】
  ・院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド(院生・ポスドク最新事情、13-40ページ、菊地俊郎)
  ・大学教員 採用・人事のカラクリ(櫻田大造)
  ・やるべきことが見えてくる研究者の仕事術(島岡要)
   (はじめに”不透明な時代にやるべきことが見えてくる仕事術”、3-5ページ)
2) 手遅れ防止 適切な時期に必要な手を打たないと手遅れになる場合がある。
 ・手遅れにならないように。(早めに手を打っておけば良かったのに…)
 ・後悔しないように。(ああしておけば良かった…)
3) 期待される基準の
   上昇
学年・研究年数が上がるにつれて期待される基準(Expectation)が上がってくる。
今の自分の評価が高いからといって今後も評価が高いとは限らない(今後自分の評価が下がる可能性がある)。
 ・修士課程大学院生のときに評価が高かったからといって博士課程大学院生のときに評価が高いとは限らない。
 ・大学院生のときに評価が高かったからといってポスドク(博士研究員)のときに評価が高いとは限らない。
4) 評価・評判
 ①研究業績 研究業績がいい方が生き残りやすい。しかし、研究業績は簡単には上がらない
 ②評判 評判がいい方が生き残りやすい。しかし、評判は簡単には上がらない
 ③悪評 評判が低いと生き残ることは難しい
評判を下げることは簡単である。
評判を下げない方が良い
「それをしたらあなたの評判を下げてしまうよ」と思うことをしている学生・ポスドクさんがいる。

(2) 趣旨


1) 趣旨 私は学術振興会特別研究員に全く採用されなかった。
それどころか学生時代評価とても低かった(とほほ…)。
今では海外の大学で助教が出来ている。
大学院生ポスドク時代にやるべきだと思うことを記します。
誰かの明るい未来のきっかけになりましたら幸いです。
 【参考図書】
  ・科学者として生き残る方法(お断り、6ページ、F. ロージ・T. ジョンストン)
2) 基本方針 このページの内容は以下に基づいて書いています。
 ・私の博士課程大学院生ポスドク(博士研究員)としての経験
 ・現在の助教(相当)の立場から見た視点考察
 ・同僚・共同研究者の方や友人への取材
 ・参考図書
3) お断り 私は博士課程修了後、ポスドク後に大学教員になることがすべてであるとは思っていません。
以下のことが重要であると考えます。
 難題真剣に取り組む。
 →高度GPDCA サイクルを身につける。
 →今後の人生・仕事に活かす(今後の人生・仕事の難題を簡単に解決する)。

(3) 生き残り戦略


1) おススメ 今後数年計画を立てて大学院での研究生活・ポスドク生活に臨むこと。
(したたかに生きた方が良い)
 【参考図書】
  ・科学者として生き残る方法(序論、13-23ページ、F. ロージ・T. ジョンストン)
  ・理系のための人生設計ガイド成功のためには「人生設計」が必要だ、17-33ページ、坪田一男)
  ・院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド35歳と茹で蛙現象、43-48ページ、菊地俊郎)
2) 利点
 ①困難の回避 困難に早め気づいて対応することで回避する。
 ②軌道修正 計画・戦略を修正バージョンアップしながら大学院での研究生活・ポスドク生活を過ごすことができる。
よりよい行動がとれる。
 ③改善 後日、自分がしたことについて評価検証改善ができる。
 ・計画を立ててない場合は改善が難しい。
 ・改善が出来ない人は伸びていないと評価される気がする(期待される基準は日々上昇している)。
 ④計画の改善 計画・戦略を立てて実行して、立案・実行過程について改善してみるという練習にもなる。
 ⑤改善方法の改善 改善方法を工夫してみる。研究してみる。
 ⑥将来の
  キャリア支援
将来的に博士課程大学院生・博士研究員さんのキャリア支援にも役に立つ。
 (「自分の場合はこうした、ああした」と言える)
3) 良い計画のために
 ①基本方針 今後数年の内起こることを知っておいた方が良い。
 ②行動方針 情報を集めた方が良い。
 ・先人に取材する。
 ・を読む。
 ・ウェブサイトで検索する。
 ③参考図書 理系のための研究生活ガイド第2版(坪田一男)
理系のための人生設計ガイド(坪田一男)
院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド(菊地俊郎)
博士号のとり方(エステル・M・フィリップス、デレック・S・ピュー、角谷快彦訳)
科学者として生き残る方法(F. ロージ・T. ジョンストン)
やるべきことが見えてくる研究者の仕事術(島岡要)
大学教員 採用・人事のカラクリ(櫻田大造)

(4) ロールモデルの分析:計画・戦略立案の準備


1) 必要性 ロールモデルRole Model)を分析することで生き残り戦略を練る際の基準・データになる。
 【参考図書】
  ・科学者として生き残る方法(F. ロージ・T. ジョンストン)
   (大学(博士課程、ポスドク、教員)の選び方、61-68ページ、なぜ、ポスドクで修行するのか、68-74ページ)
2) 基本方針
 ①記録 ロールモデル言動行動記録する。
 ②体系化 記録したものを整理・分析・体系化する。
 ③予測 D2D3ポスドク助教になった時のやるべきこと予測する。
ゴール明確に設定する。
 ④準備 予測を基に準備する。
3) D2・D3の先輩
 ①記録 どんな困難に遭うかよく観察、記録(記憶)する。
 ②取材 仲が良ければを聞きに行く。
 【実例】 川添、D3 は大変なんだよ。お前、ぼーっとしてるけど大丈夫か?
 【参考図書】
  ・科学者として生き残る方法助言者は、なるべく早く見つける、61-68ページ、F. ロージ・T. ジョンストン)
 ③考察 観察、記録(記憶)したものに基づいて対策を練る。
  困難の例  ・実験の失敗
 ・学術論文執筆
 ・学術論文の投稿改訂
 ・学術論文の査読コメントへの対応(査読コメントに対する指導教員のコメントへの対応)
 ・博士課程修了にどんな要件があるか(例えば、学術論文の受理)
 ・予備審査の開催条件、乗り切り方。
 ・博士論文の書き方・まとめ方(フォーマット)・提出の仕方。
 ・本審査(公聴会)の開催条件、開催時期、乗り切り方。
 ・博士研究員(ポスドク)の受け入れ先の見つけ方。決まった時期。
 ・学術振興会特別研究員(PD)へ採用されるための学術論文数。
4) 助教の方
 ①記録 助教になるにはどのレベルが必要かを観察する。
 ②取材 仲が良ければ話を聞きに行く。
 【実例】 川添君、みんながみんな助教になれるわけじゃないんだよ。
 ③考察 レベルの差を埋めるにはどうれば良いかを考える。

(5) 助教の仕事:能力向上のゴール設定


1) 必要性 大学教員を目指す場合、助教の仕事がこなせる能力が必要。
→助教になったときを見据えて自分の能力を向上させておく。
 採用する側の方は能力がほぼ備わっている人を選んでいる気がする。
2) 教育
 ①研究指導
  対象 ・受け持ちの学生さん(指導教員として)
・受け持ちでない学生さん(指導教員ではなくても)
博士研究員さん(助言をする)
短期滞在者(分からないことが多い)
  内容 実験指導(テキスト作成)
キャリア支援(このページの内容)
 ②授業など ・ショートコース
・見学者への説明(ラボツアー)
 ③教員の方・
  学生さんとの意思疎通
3) 学務・教務 ・研究所年報の編集
4) 研究など
 ①研究
  学術論文の執筆・出版 第一著者の学術論文の執筆
共著学術論文の執筆
・学術論文の査読
  共同研究
 ②研究費用 ・科学研究費助成への応募(助成情報の収集、応募申請書類の作成)
 ③施設利用の申請・報告 共同利用研究の課題申請
放射光実験
   共同研究者との研究打ち合わせ、課題申請書作成、課題申請、
   実験準備、オンライン安全講習、共同研究者の手続き補助、出張手配、旅費申請、
   本実験、実験補助、マニュアル作成、データ解析、成果報告
 ④実験室・設備の管理 ・消耗品の補充(在庫の把握、見積、購入)
・既存装置・機器の保守故障対応(故障原因の解明、修理依頼、入れ替え)
・新しい装置・機器の導入
・新しい装置のマニュアル作成
技術職員さんとの意思疎通・連絡、業者対応
 【参考図書】
  ・研究室マネジメント入門(日本化学会)
 ⑤学会参加 ・学会参加・発表
 ⑥研究テーマ ・研究テーマを考える。
 ⑦次のポスト ・准教授などの大学教員公募への応募(公募情報の収集、応募書類の作成・郵送)
5) 情報発信 ・ウェブサイトの整備
6) 参考図書  ・理系のための人生設計ガイド(成功のためには「人生設計」が必要だ、17-33ページ、坪田一男)

(6) 学術振興会特別研究員への申請など


1) 学習目標
 ①情報収集 研究助成についての情報収集。
 ②業績の相対評価 自分の研究業績を採用されている方のものと比べる。
 ③書き方
 ④申請方法 申請の仕方を覚える。
 ⑤研究費の使用方法
2) 成果目標
 ①研究業績 研究費の獲得実績になる。
 ②生活費
 ③研究費
3) 情報収集
 ①ウェブサイト
 ②参考図書 科研費獲得の方法とコツ改訂第2版(児島将康)
新訂わかりやすい科研費(遠藤啓)
理系のための人生設計ガイド(科研費「通る申請書類」は、カラーで図入りで業績明記、80-83ページ、坪田一男)
 ③論文数の相場 KAKEN 科学研究費助成事業データベースにアクセスする。
「研究課題を検索」をクリック。
「研究分野一覧を参照」をクリック。
「研究分野」をクリック。(例えば、「岩石・鉱物・鉱床学」)
「研究種目一覧を参照」をクリック。
特別研究員奨励費」をクリック。
「研究課題を検索」をクリック。
自分の研究分野に近いものの題目をクリック。
氏名の近くに表示されているDC1DC2PDをチェックする。
学術論文数を「Web of Science」、「Google Scholar Citations」で調べる。

(7) D1:博士課程大学院生1年目


1) 評価
 ①始めの半年
  研究態度 実験を真面目にしていれば評価される(今までの経験に基づくと)。
  入試成績 入試成績が良ければ、評価が高い。
入試の成績が良かったのだから、良い研究をするだろうと思われている。
  注意事項 テスト・入試で良い成績を取る能力は、良い研究をする能力と完全には一致しない
(たぶん)テスト・入試は答えにたどり着きやすく、研究は結論になかなかたどり着けないから。
 【参考図書】
  ・理系のための研究生活ガイド第2版学生時代勉強と研究とは全然関係がない、31-33ページ、坪田一男)
 ②半年後
  よいケース 実験結果が出始めている。
  ダメなケース 半年間真面目に実験に取り組んで結果が出なければそろそろやばい
今後も結果が出ないのではないだろうかと疑われ始める。
入試で成績が良くても研究には結びつかないものだったのかと思われる。
 【参考図書】
  ・理系のための研究生活ガイド第2版学生時代勉強と研究とは全然関係がない、31-33ページ、坪田一男)
 ③学振特別研究員 学術振興会特別研究員に採用されていれば評価が高い。
2) ロールモデルの分析 ロールモデルの分析に基づく生き残り戦略立案と実行(上記の項目)。
困難の予測に基づく回避を試みる。
3) 仕事能力の
  レベルアップ
仕事が捌ききれなくなった場合には、仕事のやり方のレベルを上げた方が良い。
 【参考図書】
  ・ダンドリ仕事術(吉山勇樹)
4) 自己評価 評価低くて当然の研究業績。
 ・学術論文数: 編 (第一著者のもの: 編)(博士課程1年目終了時点、2004年3月)

(8) D2:博士課程大学院生2年目、状況と評価


1) 状況
 ①状況把握
  よいケース 博士課程後期を1年間真面目に過ごしていれば、環境にも慣れて周りが見えてくるようになる。
  ダメなケース 状況判断能力の低い学生さんは、周りが見えていない。自分が置かれている状況が分かっていない。
 ②課程修了までの
  カウントダウン
博士課程の修了に向けたカウントダウンが始まる。
 →三年で博士課程を修了しようとすると、残り二年弱から一年数カ月で学術論文の受理までたどり着く必要がある。
 →学術論文を投稿して査読・改訂を経て受理されるまでには半年くらいはかかる。
 →残り一年から半年程度で学術論文として受理されるレベルの研究成果を出さなくてはならない。
 →論文執筆の期間を考えるとD2のうちに学術論文として受理されるレベルの研究成果が必要となる。
2) 業績評価
 ①優 第一著者の学術論文が受理されていれば安心できる。
課程修了までに二編目の学術論文が受理されるのだろうなと思われる。
 ②良 学術論文を投稿している。査読中である。
このまま研究に取り組めば学術論文を投稿・改訂できそう。
 ③可 1年間真面目に実験に取り組んで結果出なければやばい
今後も結果が出ないのではないだろうかと疑われ始める。
 ④う~ん 1年間真面目に実験に取り組んでこなかった人が急に実験をやりだしても大丈夫かな?と思ってしまう。
3) 学習評価
 ①説得力
  優 編集者査読者の方を説得できる。
  良 指導教員の方を説得できる。
  可 博士課程の学生さんを説得できる。
  う~ん 博士課程の学生さんを説得できない
 ②証拠
  優 学術論文・研究発表の論理的破綻や過去の研究との矛盾を理路整然と説明できる。
  良 実験結果、過去の研究から結論を支持する証拠を導き出すことができる。
  可 実験結果、過去の研究から結論を支持する”と思われる”証拠を導き出すことができる。
  う~ん 実験結果、過去の研究から結論を支持する”と思われる”証拠を導き出すことができない。
4) 私の場合 学術論文を3月にようやく投稿しました。
5) 自己評価 評価低くて当然の研究業績。
 ・学術論文数: 編 (第一著者のもの: 編)(博士課程2年目終了時点、2005年3月)

(9) D2:博士課程大学院生2年目、今後の分岐点


1) 今後2年で起こる
  研究人生の分岐点
①博士課程の修了
②就職活動(博士研究員、助教、企業)
2) 博士取得 博士課程修了には学術論文を出版しているもしくは受理されている必要がある(所が多い)。
学術論文はすぐには受理されない。
 大学院生が第一著者の場合、執筆開始から1年から1年半を見ておく必要がある。
 投稿から半月で受理されたことがあるが、例外である。
博士課程大学院生が初めて学術論文を投稿する場合、
原稿執筆、共著者との投稿に向けた議論、データの追加(追加実験、試料の再分析、データの再解析)、
英語添削、投稿規定の熟読と投稿準備、査読、改訂、再査読という課程が考えられる。
3) 就職活動 就活を始めた方が良い。
学会発表をすると認知度が上がる。そのためには発表に耐えうる結果が必要。
学術論文が二編あると特別研究員(学術振興会など)に受かりやすくなる。
博士研究員を雇うための研究費を獲るには1年以上の時間がかかる。
(申請書執筆、申請、審査など)
逆算すると博士課程の2年目くらいで話があると良い。
4) ロールモデル ロールモデルを見つけて、状況分析・判断する。
内容は上記のD1のときのものと同じ。
 【参考図書】
  ・科学者として生き残る方法助言者は、なるべく早く見つける、61-68ページ、F. ロージ・T. ジョンストン)

(10) D3:博士課程大学院生3年目


1) 状況 博士課程修了までのカウントダウン
→三年で博士課程を修了しようとすると、残り一年弱で修了条件までたどり着く必要がある。
2) 評価
 ①う~ん 結果が出てないのは、…。
3) ロールモデル ポスドクを経た後に助教・講師になれそうか考える。
 →自分の研究業績を客観的に評価してみる。
 →学術論文の本数。その内、第一著者のものの本数。
 →引用数
 →h-index
4) 就職活動 学術振興会特別研究員に申請する。
不採択でも受け入れ先にお願いしていた所が雇ってくれるかもしれない。
5) 博士論文 早めに書き始める。
6) 私の場合 学術振興会特別研究員に落ちました
博士研究員お話を頂きました。
数日後にお願いしますという旨の返事をお送りしました。
受入先がアメリカだったのでビザなどのことを調べ始めました。
博士論文を提出しました。
3月に渡米して、博士研究員として働き始めました。
もう記憶の彼方のことになってしまいましたが、とてつもなく忙しかったように思います。
 【参考図書】
  ・研究留学術(門川俊明)
7) 自己評価 評価低くて当然の研究業績。
 ・学術論文数: 編 (第一著者のもの: 編)(博士課程修了時点、2006年3月)

(11) 博士研究員(ポスドク)生活の流れ(川添貴章の場合)


1) 1回目のポスドク  
  1年目 ポスドクとしてアメリカの大学に採用される。(2006年3月)
新鮮な気分で頑張れる。自分にとって新しい研究分野の知識・実験手法の習得に努力する。
英語文化、研究・教育システムの違いなどに慣れるのに苦労する。
  2年目 周りの環境に慣れてきて頑張れる。(2007年)
  3年目前半 次の環境を求めて異動。(2008年7月)
前任者のポスドクの方の研究を補完するデータを出したことで学術論文の共著に入れてもらう。
 ・学術論文数: 編 (第一著者のもの: 編) 
  参考図書 院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイドポスドク1回目でやっておくべきこと、48-49ページ、菊地俊郎)
2) 2回目のポスドク  
  3年目後半 2回目のポスドクを始める。(2008年8月)
当初は大学院生の頃のテーマを延長したものに取り組む。
  4年目 周りの環境に慣れてきて頑張れる。(2009年)
1回目のポスドク時代の研究テーマに関連した実験技術開発がこれまでの常識を超えて思いのほかうまく行く。
1回目のポスドクのときにしていた研究の成果が第一著者の学術論文として特集号に出版される。
 ・学術論文数: 編 (第一著者のもの: 編)
  5年目 とにかく頑張る。(2010年)
4月に科学研究費補助金若手研究(B)に採択される。
1回目と2回目のポスドクのときにしていた研究の成果が第一著者の学術論文として4編出版される。
実験や実験技術開発を手伝った共著の学術論文も2編出版される。
 ・学術論文数: 10編 (第一著者のもの: 編)
  6年目 とにかく頑張る。(2011年)
頂いていた科学研究費補助金のテーマで第一著者の学術論文が1編出版される。
共同研究を進めていた研究の成果が共著の論文として1編出版される。
 ・学術論文数: 12編 (第一著者のもの: 編)
  7年目 4月に科学研究費補助金基盤研究(C)に採択される。(2012年)
第一著者の学術論文が2編出版される。その内、1編は単著のもの。
共同研究を進めていた研究の成果が共著の論文として2編出版される。
10月上旬にドイツの研究所に面接を受けに行く。助教(相当)の職に採用が決まる。
1月上旬にドイツに異動する。
 ・学術論文数: 16編 (第一著者のもの: 編)
  参考図書 院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド(ポスドク2回目以降に気をつけておくべきこと、48-49ページ、菊地俊郎)

(12) 博士研究員(ポスドク)、学習目標


1) 研究の幅を拡げる
新しい分野のことを効率的に吸収できるようにする。
 【参考図書】
  ・科学者として生き残る方法(なぜ、ポスドク修行するのか、68-74ページ、F. ロージ・T. ジョンストン)
 ①必要性
  将来の研究テーマ 将来的に新しい分野の研究をしたくなったときに役に立つ。
研究成果を挙げたかとともに、いかに幅を拡げているかで評価される。
  学生さんの
  研究テーマ
学生さんの研究テーマを考えるときに役に立つ。
 ②方向性
  学術的な部分 知識。議論の仕方。説得力のある論文の書き方・説明の仕方。
  実験 基礎の理解を深める。
自分にとっての新しい実験手法の習得。
実験技術開発の仕方を習う。
  分析・解析技術 これまでに習得した技術の理解を深める。
自分にとっての新しい分析・解析手法の習得。
 ③行動方針
  オープンマインド 視野が狭いと吸収できるもの・吸収すべきものに気付かない。
井の中の蛙。動かない虫が見えない蛙。
ダメな例。身の周りにある自分にとって新しいものを取り入れようとしない。
  貪欲に ダメな例。欲がない人はある程度吸収したらそれ以上吸収しようとしない。
  環境適応化 異動した際に早く周りの環境に馴染む術を身につけた方が良い。
2) 判断・仕事の高速化
 ①必要性 助教の職を得たら仕事の範囲が広がって時間に困るようになるので。
 ②助教の仕事 上記の内容。
 ③対策 仕事の捌き方を覚える必要がある。ビジネスはビジー(忙しい)なもの。
プロジェクトの期間は2-3年であることが多い。
忙しくなっても1-2年に一編は第一著者の学術論文が必要。
 【参考図書】
  ・ダンドリ仕事術(吉山勇樹)

(13) 博士研究員(ポスドク)、成果目標


1) 研究費
 ①基本方針 科学研究費補助金などの研究助成に応募する。(応募資格がある場合)
 ②行動方針 若手研究(B)などに応募して採択された申請書をお手本としてもらう。
過去の審査委員の方が公開されている場合には調べる。
学会の際に助言を聞いてみる。
 ③参考図書 科研費獲得の方法とコツ改訂第2版(児島将康)
新訂わかりやすい科研費(遠藤啓)
院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド(菊地俊郎)
 ・独立研究者(PI)になるには①研究費を獲得する、97-115ページ
 ・独立研究者(PI)になるには②競争的研究資金の申請から採択まで、117-145ページ
理系のための人生設計ガイド(科研費「通る申請書類」は、カラーで図入りで業績明記、80-83ページ、坪田一男)
2) 自分の評価
 ①現実問題 採用するかどうかは他人評価する。
 (自分では決められない。自分の評価は関係ない)
 ②方針 決算権・人事権のある人の考え方を理解する。
 ③客観的評価 【参考図書】
 ・理系のための研究生活ガイド第2版(坪田一男)
   (研究者個人を評価するh指数、140-142ページ)
   (自分の業績に関心を持つ、252-253ページ)
   (英語論文・解説が第一の業績、253-254ページ)
   (業績目録を作る、255-257ページ)

(14) 博士研究員(ポスドク)、大学教員等の公募への応募


1) 目的 基本書類(研究所研究員)としての採用
2) 必要性 大学教員(研究所研究員)になりたい場合は、必要。
3) 日々の方針
 ①日々の仕事 公募の応募書類書けることを増やす。応募書類に書ける仕事の優先順位上げる
 ②知名度 知名度を上げる。
 ③助教の仕事 助教の仕事をやってみる。公募の応募書類に書く内容も変わってくるのではないだろうか。
 【参考図書】
  ・任せる技術(小倉広、52-57ページ)
4) 応募の行動方針
  教員公募情報 教員公募情報を得る。
 ・JREC-IN:科学技術振興機構が運営するウェブサイト
教員公募要項をダウンロードする。
応募できるかどうか公募分野・職種をチェックして考える。
公募先の教員の方の研究分野をチェックする。
 自分のやりたい研究が出来そうか・歓迎されそうか考える。
  応募書類 基本書類を書く。
 ・履歴書 ・研究実績 ・教育実績 ・研究業績リスト(査読付き論文、査読のない論文)
 ・研究計画・抱負(目的、意義、背景、方法、共同研究、抱負)
 ・教育の抱負(授業、研究指導の目的、目標、方針、分野、抱負)
 書きやすいところに採用されるような気がする。
 募集先の選考委員の方は今後募集先の発展に貢献できる人を採用したいと思うはず。
5) 海外に異動して
  日本に戻りたい場合
日本の教授の方に忘れられるかも。
日本に戻ってくる気はないんじゃないと思われるかも。
 【実例】
  ・川添君、日本に戻ってくる気あるの?(A. もちろんですよ!)
6) 参考図書 院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド(独立研究者(PI)になるには①、97-115ページ、菊地俊郎)
科学者として生き残る方法(人事に関する面接、207-221ページ、F. ロージ・T. ジョンストン)

(15) 独自性


1) 独自性のある手法:
  コピー-改善方式
 ①師匠 独自性のある手法で研究している研究者(以下、師匠)の所に行く。
 ②完全コピー 独自性のある手法を完全コピーする。
 ・師匠から研究手法を習う。
 ・完全コピーが出来たかを評価する。
 ・完全コピー出来なければ、師匠と議論する。
 ・議論に基づいて、完全コピーを試みる。
 ・完全コピー中に改善の余地がないかを考える。
 ・完全コピー中に師匠と改善の余地がないかを議論する。
 ・完全コピーが出来た後も改善の余地を探る。
 ③改善 独自性のある手法を改善する。
 ・改善方法を思い付いた場合は、改善に取り組む。
 ・改善に取り組んだ結果を評価する。
 ・改善していれば独自性のある手法になる。めでたい!
 ・改善していなければ、完全コピーに戻る。
 ④さらに改善 改善した手法をさらに改善する。
 ・さらに独自性が高まる。めでたい!
 ⑤発表
2) 独自に考えたテーマ
 ①目的 研究プロジェクト立案能力があることを示す。
 ②必要性 助教・講師・准教授・教授になったときに学生さんの研究テーマを考える必要が出てくるから。
それを考えれる(と思われている)人が取られている気がする。
【参考図書】
 ・理系のための研究生活ガイド第2版(研究テーマを決める14の原則、58-80ページ、坪田一男)
 ・やるべきことが見えてくる研究者の仕事術(「好き」よりも「得意」にこだわる仕事術、27-42ページ、島岡要)
自分で雇用を確保している場合。
 学術振興会特別研究員
 フンボルト博士研究員
上司に理解がある場合。
上司が独自に考えたテーマを面白いと思ってくれた場合。
3) ブラッグの戒律 【参考図書・ウェブサイト】
 ・宇宙化学・地球化学に魅せられて(小沼直樹、178-181ページ)
 ・香内晃氏による低温研ニュースNo.23の巻頭言
4) 試験的実験
5) 自分ブランドの構築
【参考図書】
 ・パーソナル・マーケティング(本田直之)
【僕が考えてきたこと】
 大学院生:
  ・超高温高圧下での元素分配
  ・超硬合金アンビルで高温下36 GPa 発生
 博士研究員:
  ・高温高圧レオロジー、地球の熱的化学的進化、マントル遷移層領域の変形実験
 ①重要性 自分の強み・オリジナリティに基づいて、他の研究者との差別化を図り競合優位・市場価値を高める
どこかに採用して欲しいと思うなら、こんなに役に立ちますよと発信した方が良い。
なぜあなたを採用する必要があるの?という問いに答えられるようにしておく。
 ②研究分野の絞り込み 【自分の場合】
地球惑星科学・地学(研究対象=地球・惑星)、
 →地球深部科学(研究対象=地球・惑星の深部)、
 →地球深部物質科学(研究対象=地球深部の物質)、
 →超高圧実験岩石学(研究対象=地球深部物質×研究手法=超高圧実験)、
 →超高圧実験レオロジー研究(研究対象=地球深部物質のレオロジー×研究手法=超高圧実験)
 →超高圧変形実験レオロジー研究(研究対象=地球深部物質のレオロジー×研究手法=超高圧変形実験)
 →ここまで来ると独自性があると思う。
  申請書にそう書いていて怒られたことはまだない。落ちたことはあるけど…、関連性は不明。
 【参考図書】
   ・やるべきことが見えてくる研究者の仕事術(島岡要、20-22, 59-72ページ)
  ・理系のための研究生活ガイド第2版(坪田一男、64-66ページ)
 ③方法 ・重要性の明確化
・独自性の明確化
・情報公開(学術雑誌の出版、学会発表、ウェブサイト公開)
 ④評価 ・学術論文の査読依頼が来る?
招待講演を依頼される?
6) 参考図書  ・院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド(菊地俊郎)
  (どうすれば独創的なアイデアが生み出せるか、75-77ページ、気づく力の大切さ、77-79ページ)

(16) 情報発信


1) 背景
 ①ウェブ検索 今の時代、科学情報をウェブ検索する人がいる。
  実例 学会で会ったり、研究所に来られりした方に「ウェブサイトを見ました」と言われる。
・ウェブサイトへの意見やこちらの施設で高圧実験がしたいとのメールを頂く。
  参考図書 これからホームページをつくる研究者のために(岡本真)
やるべきことが見えてくる研究者の仕事術(島岡要、135-148ページ)
 ②海外に異動して
  日本に戻りたい場合
日本の人に忘れられるかもしれない。
2) 状況判断・必要性 自分の知名度について考える。
指導教員の方は宣伝してくれている?宣伝してくれていない場合は、情報発信に努力した方が良い。
自分の名前や研究のキーワードをグーグル検索してみる。
1ページ目に自分に関連したウェブサイトが載るかどうかを確認する。
全く知られていない人は大学教員に採用されづらい(と思う)。
3) 利点
 ①ウェブサイト (海外からでも)情報発信が出来る。
査読
なくても掲載できる。
叩き台を作ることで深く考えることが出来る。
 【参考図書】
  ・理系のための人生設計ガイド(留学経験をキャリアに活かすための五ヵ条、坪田一男)
4) 方針
 ①基本方針 人の目に留まるようにする。
どこかに採用して欲しいと思うなら、自分の優秀さが分かるようにした方が良い。
 ②学会発表
  海外に異動して
  日本に戻りたい場合
多くの日本人が参加する国際学会に参加する。日本から参加している方とお話する。
日本で開催される学会のときに帰国する。ついでに大きな研究所に行って発表をさせてもらう。
 【参考図書】
  ・理系のための人生設計ガイド(留学経験をキャリアに活かすための五ヵ条、坪田一男)
 ③ウェブサイト
  基本構造 ウェブサイトの基本構造を考える。
以下はこのウェブサイトの基本構造。大学教員公募の応募書類をイメージしている。
 ・ホームページ ・研究教育履歴のページ ・研究(教育)紹介のページ ・研究業績のページ
各ページを作る。
  内容 科学研究費補助金や大学教員公募の応募書類の内容をコピーアンドペーストする。
研究指導用のテキストマニュアルを作ったら、一部をウェブサイトに加える。
出来れば英語のページも作る。
  ページタイトル ページにページタイトルを付ける。
  リンク 学術論文のウェブサイトにリンクを貼る。
  SEO ウェブサイト内でのリンク。分かりやすくなる。
見出し設定。Links to Highlight(ラベル(アンカー)、ラベルを付ける)。画像:Alt タグ(~30文字以上)。
 ④Google Scholar
  Citations
  共著者 ログインする。
①「共著者を追加」から追加する。
②共著者の方を検索する。
 「共著者を追加」をクリックする。

(17) 粘る


諦めずに続ける(be tenacious)。困難に屈せずにやり通す(persevere)。
0) 重要性 「なんでそんなことできるの?」と聞かれることがあるのですが、粘るからだと思います。
1) 洞察に基づいた
  成功の見通しを持つ
関連文献の関連箇所を良く読む。ちゃんと理解する。
文献に「困難(difficult, difficulty)」と書いてあったら何が困難なのかを覚える。
「困難」の「理由(because, reason)」が書いてあったら覚える。
書いてある「困難」が「現在」でも「困難」であるか検討する。
書いてある「困難」が「自分たちの研究能力」でも「困難」であるか検討する。
そんなに難しいことだと感じなければ、たぶんやってみれば上手くいく(なんとかなる)。
なんとかなりそうなことは、なんとかする。
2) 具体策を練る 実行時に起こりうる困難を予測する。関連文献に書いてあった困難を参考にする。
具体策を練る。技術の進歩を考慮に入れる。
3) 具体策の実行 対策を実行する。(結果に基づいて)試行錯誤する。
記録する(記憶する)。
4) 結果 成功の徴候を見逃さない。
徴候は成功とは言えないが改善することで成功になりそうなもの。
5) 参考図書  ・院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド(粘り強く実行していくこと、80-81ページ、菊地俊郎)