3−3.研究のレベル上げ3:実験・試料分析

(1) 心構え


 1) 目標 学生さん・博士研究員さんの行動が変わるようにする。
 →いくら時間を使って助言しても相手の行動が変わらなければ成果には結び付かない。
 →成果を出せるようになることが研究指導の目的である以上、成果が出なければ×。
 →研究指導に困る人には言っただけでは、×。
 →紙に書いて渡す。
 →評価に関わる際に言う。
 2) 方針
  @共同研究者 共同研究者として接する。
  A任せる 思考錯誤・失敗・成長の機会を奪ってはいけない。
失敗した場合、失敗から改善の方法を学ぶ練習になる。
何の工夫もなく繰り返す場合は、ストップをかける。
忍耐強く。
自分でやらない。自分でやった方が早く、仕事の質も高い。でも相手は成長しない。
学生・博士研究員を信頼する。
装置がちょっと壊れるくらいはOKと腹を括る。ちょっと壊れたら修理すれば良い。
(自分がどれだけアンビルを割ってきたか考えた方が良い)
 3) 相手の個性 個性を考える。
強みを伸ばす。
僕が言われるのは、我慢強い(Patient)。
 4) 褒める 進歩があれば具体的に褒める。
 5) 聞いてみる 「なんで?」
 ・なんでその組成なの?
 ・なんでそんな発見が出来たの?
「ほんとかなぁ?」
 論拠・根拠が必要です。実験結果、分析結果、解析結果、学術論文
 ・ほんとに地球の中にあるの?
「そもそも?」
Interesting?

(2) 規範


〜べきである。
 0) 心構え 納得してもらえるように準備する。
 1) 無駄遣い 限りある資金で最大限の成果を出そうとする.。
 →無駄遣いをしないべきである。
税金で研究活動をしているので。
 2) 高価なもの 高価なものを扱う場合は指導教員に相談する。
 3) 約束を守る 約束の期限を守る。
 4) 責任感
  @名前 ラベルを貼る。名前を書く。
捨てたくても捨てられない。
責任の所在を明確化する。

(3) 論文読解


You should be responsible for your research.
Please read the papers which I introduced you in our discussion.

(4) プロセスのステップ分け


 1) 取りかかりやすくする ブレークダウン
 【参考図書】
  ・任せる技術(小倉広、182-187ページ)
 2) 締切対策 締切に間に合うの?
卒業できると思っているの?

(5) 操作マニュアル作成・更新


 1) 目的
  @作業の標準化 標準化
 【参考図書】
  ・任せる技術(小倉広、196-201ページ)
  A品質管理 経験の少ない人でも取るべき行動が分かるようにする。
発生頻度の少ないことにも対応できるようにする。緊急事態。
  B教育効果
   整理 自分が何を習っているか整理できる。
 (他者に分かりやすく記述しようとするため)
   ブレークダウン ブレークダウンの練習。論理的思考能力を向上する。
   伝え方 分かりやすく伝える伝え方を習得する。
 2) 対象
  @経験の少ない人 学部・大学院の新入生。
新加入の博士研究員。
短期滞在者の方。
大学では人の入れ替わりが多いので。
経験の多い人もカバーできる。
 3) 作成上の注意点   
  @決まりごと 決まりごとを書きもらさない。
ダメな例
  基本的な作業が抜けている。
  A分かりやすさ 必要以上に詳細に書かない。
ダメな例
詳細過ぎる。基本事項を見つけづらい。
 4) 方針
  @作成方針
   クイックアンドダーティー 効率的にマニュアルを作成する。
(時間の確保が難しい場合に備える)
最初から完璧なものを目指さない。
 改訂を前提に作成する。
 半年・一年に一度程度見直す
 作業の変化に対応する。
 不足箇所を補う。
  A指導方針 マニュアル対応が出来るようになった上でさらに研究指導する。
基本的な作業も出来ないのにさらに上のレベルの研究指導をするのは難しい。
  B指導方針:
   マニュアル作成
お手本を自分で作成して見せる。
相手の反応を見つつその場でアップデートする。
その場でアップデートして作り方見せておく
自分で作業をするときに写真を撮ってもらって改善してもらう。
見た人が分かりやすい写真の撮り方を考える。
大学院生・博士研究員に作ってもらう。
判断基準・コツを書く。アラが見えるのは自然なこと。「名選手、名監督にあらず」
   説明する点 初めて作ったものの出来栄えは良くなくていい。
レポート・発表・論文で人を納得させるためには説得力のある写真がいる。
 5) 作成方法
  @セットアップ PowerPoint を使う。
A4 用紙を横に使う。
1ページごとにを付ける。
中央縦線を引く。
  A内容 写真を撮る。解像度を調整する。切り取る。貼りつける。
 作業者の記憶に頼らない。
 「記憶違い」や意思疎通の不良で実験・試料を棒に振らない。
 文章で表現しにくいものも表現しやすい。
パソコンの画面をキャプチャする。切り取る。貼りつける。
赤丸を加える。矢印を加える。
 6) 作成後 紙に印刷する。
冊子を置く。
に貼る。

(6) 効率化


 1) 忘れ物チェックリスト   
  @事務手続き 出張手続き
  A高圧実験 セルアセンブリー
セルアセンブリーパーツ
道具
  B放射光実験 X線手続き
X線バッジ
 2) オフィスワーク ショートカットキー
フォルダを開いたときに、キーを押してファイルに飛ぶ。
ウインドウ画像のキャプチャ:「Alt」 + 「Print Screen」
  @コピー

(7) 論理的思考


  ステップ ステップバイステップ。ステップOK?
段階的に。
適切なステップ分けが出来るようにする。
Focus.
  PDCA サイクルの"P"
  クイック&ダーティー 宿題は完成度50 % くらいでもってくるように指示する。
改善の仕方(完成度の高め方)を教えるのが仕事。
  概算による全体像の把握 フェルミ推定。
例えば、1セメスターで出来る実験回数。
  インプット−プロセス
  −アウトプット
行動とその結果の関係。
  パーツ リング・チューブ状のセラミック製パーツは壊れやすい。
  平衡・非平衡を理解する。

(8) 補完用の宿題


 1) 指導を部分的に任せる 自分の中で整理される。
 2) 共著論文 共著者として論文執筆・投稿・改訂に取り組む(オンザジョブトレーニング)。
論文執筆・投稿・改訂を知る。

(9) 申請書の作成


放射光課題申請。
共同利用申請。

(10) 独創的な研究


素晴らしい研究の定義:最先端のその先へ(自分の中の定義)
技術開発はムダ?
独自性。ブレークスルー。

(11) 考えるこつ


 1) 何も考えない時間 乗り物に乗っている時間。
布団・風呂に入っている時間。
目を閉じる。
 2) 仲の良い人と話す