2−1.学生さんのやる気の引き出し方

(1) コミュニケーション


 1) 目的
  @信頼関係の構築 顔を合わせる機会を作る(熟知性の原則)。
 【参考図書】
  ・任せる技術無理難題が言える関係をつくる、100-106ページ、小倉広)
 2) 会話 質問を聞く。Do you have any question?
  @興味 何に興味があるのか、何をしたいのか?Are you interesting?
  A本人の意向 どんな職業に就きたいの?Do you want to become a professor?
 【参考図書】
  ・任せる技術ビジョンを重ねる、94-99ページ、小倉広)
  B経験・知識 学術用語を知っている?
大学生のとき何学部?、修士課程で何学科何専攻?
  C研究テーマ どんな物質のどんな物性を測定しているの?するの?
その重要性は?その新規性は?
  Dウェブサイト 紹介する。

(2) やる気の引き出し方:立ち上げ期


 1) やりがい やりがい
【参考図書】
 ・任せる技術(小倉広)
  (ムリをしなければ脳の筋肉はつかない、40-45ページ)
  (部下が失敗する「権利」を奪うな、46-51ページ)
 2) こちらから伝えること
  @指導の意味・重要性
 歴史的背景(由来) 興味を持てる。
(例:リングウッダイトはリングウッド教授から名付けられた)
(ルビー教授は三朝に習いに行った)
 実験中 大事なことはその場で言う
自分の研究実績を紹介する(研究が出来る人だとは思われていない)。
 3) 周りの人からの刺激 良い刺激を与える。
周りの人に紹介する。
 4) 上手く行ったときの話をする 学術論文が受理される。
博士研究員(研究者)になれる。
留学の話を周りの人に聞くように勧める。

(3) やる気の引き出し方:実験・分析中


 1) 失敗はOK 経験(Experience)を積むことが重要である。
申し訳なく思う必要はない。
ただし失敗の原因を考え、対策を講じること。
むしろ多少失敗をするようにした方がいい。
 2) 努力を認める 論文が出ていたら、見たと伝える。
雑誌に載っていたら、見たと伝える。
 3) こちらのやる気 こちらのやる気・考えを伝える。
 4) 客観的評価を伝える
  @誰の? 分析を手伝ってくれた人
訪問者
 長期滞在者・短期滞在者
 セミナーに来た人
  Aどんな? 面白い結果だと言っていた。
意外な結果だと言っていた。

(4) 望ましい行動


 1) 理想 努力をした分は少なくとも何かしら評価される(認められる)。
(努力が徒労に終わらない)
”正しい”努力の方向性を認知して、行動に移す。
ひいては明るい未来に繋がる。生き残る知恵。
 2) 努力の方向性の見つけ方
  @行動方針 (取り敢えず)考え始める。
重要そうなことを思いついたらよく考える。
行動に移す。
改善すべきところがあれば改善する。
  Aよく考えるヒント 望ましい行動とは何かを考える。
 教授はどのような学生・博士研究員を採用したい(残って欲しい)と考えるかを考える。
 (望ましい行動を積み重ねた結果、研究レベルが上がり、研究成果が出ることが多い)
学生・博士研究員(・教員)の評価基準は何かを考える(下記参照)。
 3) 行動の実行
行動によって評価される部分がある(行動主義)。
望ましい行動をした方が良い。
行動に移すことはそんなに難しいことではない。やればよい(Just do it! You can do it!)。
 研究レベルをいきなりトップにすることは難しい。
 レベルを上げようと行動することはすぐ出来る。
  @良い事例@ 限りある研究資源から最大限の研究成果を生み出そうという姿勢。
 ・掃除・後片付け。(作業効率・作業効果を上げようという姿勢)
 ・節約(限りある研究資金から最大限の研究成果を生み出そうという姿勢)。
 ・愚痴を職場(居室・実験室・休憩室)で言わない(雰囲気がわるくなる)。
  A良い事例A 評価基準の項目のレベルを上げて行こうとする姿勢。
  Bダメな事例 望ましい行動をしない人。
 4) 評価基準に対する考え方
  @対策 明るい未来とは高く評価されるということ。
評価基準を知ることが明るい未来への一歩。
二歩目は評価基準を知ったうえでそれらの項目の能力が向上するように対策を打つこと。
知る限りでは、評価基準が何であるかを教える教員は少ない。
学生・博士研究員(ポスドク)・教員に対する研究者としての評価基準を知ると(身に沁みて)分かりやすい。
  A評価の場面 修士課程は博士課程への選抜(selection)の場
博士課程はポスドク・教員・常勤研究員への選抜の場
ポスドクは教員・常勤研究員への選抜の場
学生・ポスドク・教員は、ある課題に対して適切にアプローチが出来るかどうかで評価されている部分がある。
→適切なアプローチの仕方を知っていること・学ぶことが重要。